ちょっと前まで、夏が嫌いだった。暑くて不愉快になるし、汗で化粧も崩れる。どこにでかけても、夏休みのせいか混雑する。早く夏なんて終わって、秋がくればいいのにと思っていた。四季なんかなくなって、1年中秋か春だったらいいのになんて、毒づいていた。
でもここ数年、なぜだか夏が好きになった。暑い中、思いっきり遊んで汗をかくのを心地よいと思う。化粧なんて何度でも直せばいい。なんだったら最初から化粧なんてしなくてもいい。人ごみは好きにはなれないけれど、夏休みを満喫している人々を見ていると、こちらまで夏に浮かされて楽しくなってくる。
そして、夏だけでなく全ての季節が楽しみになった。春は芽吹きの香りを楽しむことができるし、秋はちょっと感傷的な気持ちになるのもまたいい。冬はぴんと張り詰めた空気に、背筋がしゃきっとする。
そう思えるようになったのは、きっと年をとったからだろう。少し前までは、私は永遠に若いままだと思っていた。でも確実に年は取る。永遠に続くと錯覚していた“今”は無限ではなく有限で、1日1日をしっかりと感じながら生活したいと願うようになった。
季節を慈しむこと。これが人生を楽しむ基本なのかもしれない。